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ニューノーマルな働き方を検討する方へ Calder Japan 野谷 香織

(Disclaimer:ワークプレイスコンサルタントとしてコラボレーションや意見交換をさせていただいているCalder Consultants Japanの野谷香織さんによるゲスト投稿です。コンサルタントとして日々、様々なクライアントから働く環境についてのご相談を受けている香織さんから、これからの働く環境を考える企業の皆様へメッセージです!)

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Calder Consultants Japan
Workplace Strategist
野谷 香織

こんにちは。野谷と申します。Calder Consultants Japanというオーストラリアを起点とした会社に所属していまして、企業のみなさんがオフィスの在り方を検討されるときに、働き方や経営戦略などの様々な調査データを元に、オフィス戦略づくりのサポートをするWorkplace Strategistというお仕事をしています。TCPさんから素敵な企画のバトンをいただいたので、どストレートにニューノーマルな働き方でオフィスがどう変わっていくかを私の偏見を元に語ってみたいと思います。


「なんとなくオフィス」の終焉

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今年は様々な意味で今までとは異なる一年となったことは言うまでもないかと思いますが、多くの会社が緊急事態宣言下でリモートワーク主体の働き方を経験し、それが100%以前の状態には戻らないことを実感しているかと思います。そういった流れから、今年は「働き方や自社オフィスの在り方を再考したい」という依頼をいただいてきました。会社ごとにもちろん特徴は異なりますが、全体として以下のような点が共通する意見としてみられます。

・リモート主体の働き方では、プロジェクトの初期段階での信頼関係構築が難しい
・リモート主体の働き方では、仕事の進捗の良くない部分・状態が見えづらい
・リモート主体の働き方では、新人との関係構築が難しい
・たまにはオフィスで対面のコミュニケーションをとることでお互いを刺激しあうことが必要
・リアルで集まったほうがよい状況でも、コロナの状況からリアルの選択ができないことがストレス
・通勤時間がなくなったことや、集中できる時間が増えたので効率的になった部分もある
・Webベースでのセミナーなどがより一般化されたので世界の情報に以前より触れやすくなった

毎日オフィスに行くのがあたりまえだったけれど、通勤時間もないし、リモートとリアルを必要に応じて使い分ければ結構ハッピーかも…でも社員には定期的に集まってきてほしいな…。そうなるとオフィスで行うアクティビティって今までとは全くことなるものになりますよね。

オフィスのコンサルティングの依頼されるときに、我々がほぼ必ず尋ねられる質問があります。「うちの社員数の場合一般的なオフィスの広さはどれくらいですか?」「うちの業界の平均値教えてくれませんか?」「最近のオフィスのトレンドって何ですか?」

これらのベンチマークの指標は私自身も非常に重要だと捉えていますが、「平均を満たせていればいい感」「業界平均より大きく劣後していなければいい感」が多くの日本企業のなかにあったと思います。オフィスって会社が運営していく中で人件費の次に大きなコストだと言われていますが、それを平均的な姿と見比べて意思決定をしてきたわけです。それ自体も決して悪いことではないのかもしれませんが、オフィスを重要な投資と捉えていただいて、これまでの常識や状況から一歩踏み出して考えてみないととても勿体ないなと思います。

このこれまでの状況が具体的にどのような現象として表れてきたかをイメージしてみます。コロナ以前でも、オフィスの実質の使用率調査を行うと執務デスクの平均使用率50%を切っているというオフィス、少なくなかったと思います。都心のハイグレードのビルであれば坪あたり30,000~40,000円以上という莫大な賃料を支払う一方で、多くの社員がオフィスに出社していても執務デスクの上はカバンだけ置いてある、という風に。そういうケースに限って、「社員はものすごく忙しくてなかなか残業が減らなくて悩んでいるんですが、社内のネットワークが遅くて朝の混雑時は30分くらい仕事にならないんです」とか、「社員に気軽にコミュニケーションとってほしいんですけど、会社のコーヒー有料だし美味しくないんです」とか、会社として期待するアクションとオフィス環境との矛盾が多く存在していたります。だからこそコロナ禍での経験を経てリモートワークができる環境が整ったいま、投資配分を見直せば会社も社員のみなさんもハッピーな状況がもっと生み出せると思っています。

ニューノーマルでオフィスはどう変わる

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すでに様々ところで議論されているテーマですが、オフィスの主用途は人が集まって刺激しあい学びあうことや、Teamでの働きをサポートするための空間にシフトしていくと思います。戦略によるとは思いますが、全体の傾向としてオフィス面積のうちリモートワークで効率化される部分を減らしつつ、インテリアやICT、サービスにかける坪単価は上がっていく傾向にあるのかなと予測します。
経営目線で、リモートワーク実施=オフィスコスト削減というシンプルな要求になっているケースも耳にしますが、人が集まることの価値みたいなところをきちんと棚卸しして、集まりたくなる仕組みや空間をきちんとつくっていかないと、結果として帰属意識が希薄になってチームワークが弱体化したり、有能な人材流出につながってしまう恐れがあります。週末にはおしゃれなカフェに出かけて行って500円の美味しいコーヒーを飲むのを楽しみにしている人が、100円だからといって長い通勤時間をかけてまでシャビーな社員食堂のコーヒーを目掛けてオフィスに集まるとは思えません。容易なことではありませんが、空間そのものやそこで提供するコンテンツの価値を継続的に高めていく努力が必要だと思います。


オフィスの在り方を模索している方へ

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私自身がこれまでプロジェクトマネジメントにもたくさん携わってきた経験から、働き方やオフィスの在り方を模索される際に、プロジェクトが良い方向へ進む(と思う)視点について雑多に挙げてみたいと思います。

1. パートナー探しは恋人探し

ワークプレイスコンサルやプロジェクトマネジャー、オフィスデザイナー探しは、まさに合コンのように短時間のプレゼンテーションや先行期間のなかで、長いプロジェクト期間を共に戦っていく、まさにパートナー探しです。「この担当者、専門用語が多すぎて何を言っているのかよく理解できないけれど賢そう」とか、「この会社は有名だから大丈夫」なんて気軽に考えていると後々ミスコミュニケーションが重なってみんなで辛い思いをしているのを目にします。プロジェクトは人と人が化学反応を起こしながら進みますので、お互い腹を割って想いを共有できる関係をいかに作り出せるが重要だと思います。

2. 優先順位を見極める

近年のプロジェクトで多い印象があるのは、会社や社会のあらゆるトレンドのテーマを解決しようとした結果できあがる「幕の内弁当的コンセプト」。大手の企業ほど社会貢献に対する責任からそういった傾向になることは必ずしも悪いことではありませんが、オフィス戦略のなかでやるべきことの優先順位づけはしておいた方が良いと個人的には思います。
また、管理者側だけの議論ではなく数値化されたデータや様々な層の生の声から課題設定を捉えてみるのも有効です。以前大手のシステム会社から「社員のエンゲージメントが低く、離職率が高い」という問題を解決したいとご相談を受けた際に、経営層の方はいかに上司とのコミュニケーションの場をつくるか、残業時間を減らすかということに頭を抱えていらっしゃったのですが、若手社員の方々からは、Wi-Fiが高速でつながることでもっと早く仕事を切り上げて専門知識の勉強がしたいという意見が挙がったことがあります。問題の解決方法はあらゆる角度から検討するが吉のようです。

3. 人間の本能的な部分と理性との両面から考える

オフィスづくりの難しさは、完全なプロトタイプを事前につくることが困難なところにあると思います。コンセプトの検証のためにトライアルを実施することもありますが、プロジェクトで予算や期間がそれほど確保できないというケースが大半です。だからこそ、人間の動物の本能的な面と、ルール付けなどで理性的にふるまうことができる面との双方からコンセプトや施策について評価することが重要だと思います。「あえて動線を迂回させてそこでコミュニケーションを活性する」という提案があったとします。迂回してまで通りたい空間や機能の魅力がなければ、人は最短距離を歩きたいと本能的に思いがちです。ときには冷静にコンセプトを疑ってみること重要かもしれません…

4. UXにこだわる

前項とも重複するテーマですが、全体を俯瞰するコンセプトの視点と同時に、UXにこだわることがオフィスの価値を上げるキーになります。UXについては、明文化できるような施策だけでなく、素直に気持ちいとか、楽しいとか、シンプルとか、感性に関わる部分に価値を見出すことだと思います。そしてこのUXの部分、きちんと価値を共有していないと、プロジェクト中~終盤の実施予算調整段階でのコストダウン施策のなかで曖昧な存在に変わったりしがちです。

5. クリエイティブはあらゆるところに

「クリエイティブに働くっていっても、間接部門の人はどうなんですか?」という質問を受けることがあります。これは私が新人の頃にクライアントから教えていただいたことですが、クリエイティブっていうのは、どのような役割や仕事にも見出せるものです。新しい企画を考え出し続けることもクリエイティブかもしれませんが、管理部門の方がそういった企画をいかに早く稟議を通してあげるかを考えることもクリエイティブな仕事だと教わりました。そうやって様々な立場の方が自分のクリエイティブについて考えることができて、お互いにリスペクトできるってなんだか素敵だなと思います!

6. 街のあちこちで探してみる

先ほど書いたように、ニューノーマルな働き方によっていままでの「何となくオフィス」という固定観念からオフィス空間は大きく変わる(といいな)と予想しています。そのヒントは街の自分の好きな空間やにぎわいの中に隠されているのではいかと。話しやすい雰囲気のパブだったり、公園のなかのちょっとしたベンチだったり、そういう視点で歩いていると意外と働ける場所って色んなところにあるなあと思います。

勝手な視点であれこれ書いてみましたが、ニューノーマルな働き方やオフィスについて、もっといろんな分野の方と議論できたらより面白いなと思います!興味のある方は是非ディスカッションさせてください!

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ワークプレイスを軸に、様々な専門領域を持つクリエイターたちのシナジーによって、既成概念を超えたソリューションの提供を目指す。働き方や働く環境に関するご相談・お問い合わせはこちら:info@tcproject.co