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革新的なプロダクトを生み出す秘訣!チームのレジリエンスを高めるオフィスとコミュニケーションとは。

おはようございます。アドベントカレンダーイベント TCP対談企画第9弾は、グリー株式会社 取締役上級執行役員の荒木英士さんをゲストに迎えます。「なりたい自分で、生きていく。」をコンセプトとしたバーチャルライブ配信アプリの事業を担われている荒木さん。現在、グリーさんの新オフィスも一緒に構想させて頂いている中で、働き方とデジタルの浸透について、お伺いしました!

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グリー株式会社
取締役 上級執行役員 荒木 英士

「居場所」として、オフィスの意義を見直す

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コロナ禍において世の中が激動した今年、モノづくりにおける働き方の変化や価値観の変化はありましたか?

端的に言うと、ビデオ会議がたくさん使われるようになって良かった、ということです。具体的かつ、一つの例ではありますが、色々な意味を含んでいる事柄だと思っています。仕事や生活において、テクノロジーで補完できるはずだったことが、これまで必要に迫られずに利用されなかった。それが、コロナ禍を経て、使われるようになったんだと思います。働き方や交流の仕方にデジタルが浸透していく、というベクトルは変わらず、その変化が加速した一年でしたね。

モノづくりにおいて、ここはリモートだと難しいな、と思う部分はありましたか?

それが意外となかったです。リモートワークを円滑に行なう場合、開発プロセスやプロジェクトマネジメント、成果を評価する仕組みが整っている必要があると思います。そういう仕組みが進んでいる業界の方がリモートワークを取り組みやすいと思いますし、そうじゃない業界は非常に難しい挑戦になるでしょう。そういう観点では、僕らは昔から、個人個人にタスクが分解されていて、チャットツールであれ、タスクトラッキングツールであれ、何らかの状態で可視化され、共有されている、というプロジェクトマネジメント手法を取れていました。個人の成果設計も、定量化・明文化し、半年毎に、半年前に設定した定量目標と照らし合わせて評価するということが出来ていたと思うので、業務を進める上での支障はあまり感じられませんでした。

一方で、直接的な作業でない部分において課題は感じています。例えば、新入社員のオンボーディングやロイヤリティの向上、また、オフィスに来ない時期が長くなると、漠然とした不安や寂しさ、言語化できない感情面の細かい蓄積などが見られました。組織構築における長期的な課題はありますね

会社に来るということが、一つの居場所だったということでしょうね。

そうですね。同僚と会話しているだけで、元気が出る、やる気が出るという話も聞きます。当社の社員は、若い人も多く、仲がいいため、普段からご飯に行ったり、飲みに行ったりする人も多いです。そういう機会によって、感情が高まったり、人間関係が深まったりしていたと思いますね。

先日、オフィス移転に関するプレスリリースも発表されましたが、現在構想している新しいオフィスはそのような課題も意識されていますか?

そうですね。もちろん、働く場所として、きちんと仕事に集中し、成果が出せるような機能面は非常に重要視しています。同時に、ただ作業するだけであれば家でもできる世の中なので、集まることの付加価値を高める必要があると思います。会いたい人がいる、話して仲良くなって、やる気が出る、とか、そういう場づくりも心がけています。

僕はどちらかと言うとどこでも不満を感じずに働けてしまうタイプではあるんですが、せっかく新しいオフィスを作るんだから、働いている人たちの気分が上がる、良いオフィスで働いているな、とちょっと自慢に思える空間を作ってあげたいと思って取り組んでいます。あとインテリアデザインとかアートとか好きなので、個人的な趣味もふんだんに散りばめています!

働く環境におけるデジタルの浸透

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働く業界やオフィス業界は、広告業界やメディア業界と比べて、デジタルの浸透が遅いな、と感じるところがあります。御社の「REALITY」のように、アバターを使ったプラットフォームが、働く環境において活用されるような将来像はイメージされますか?

最近VRオフィスやVR会議等も出てきていますが、まだデジタル化することが手段というより目的になっているフェーズですよね。
デジタル広告はそのフェーズをとっくに超えていて、一般消費者がデジタルメディアを日常的かつ主要に使っているからこそ、デジタルメディアに広告を打つことが当然になっています。一方で、VRオフィスやVR会議は、まだコンセプト先行で実際の需要は低いように感じますね。

ただ、アバターやVRというと分かりやすくSFっぽいですが、チャットツールやビデオ会議システムはこの一年で凄まじい浸透を遂げましたね。テクノロジー業界にいる僕らからすればチャットツールなんて10年前から使ってたよ、ということかもしれませんが、非ネット企業、非スタートアップ企業でも、普通にチャットやテレビ会議が使われるというのは社会的には大きな動きだったと思います。そういう意味では、僕らのような会社がVR会議やVRオフィスを使い始めて、5〜10年程経った頃に、社会全体も使っているかもしれないですね。もう少し先かな。

御社の中で「REALITY」を仕事で使おうという動きは起きていますか

Zoom会議にREALITYのアバターで参加する人はたくさんいますよ。

そういう方々はどういう目的や楽しみ方で使われているんですか?

女性社員であればメイクしなくてもいいという便利さで使っている方がいるとも聞くし、それだけじゃなく自分の見た目としてアバターの方が好きだから、そういう気分の日だからと、いうことで使っている方もいますね。
アバターというものを、全く違う自分になる、変身する、という意味合いで使っている方々も多いですが、数年後にはカメラアプリのフィルターと同じような認識になると思っています。例えば、今、若い女性はスマホ標準のカメラアプリは使わず、盛れるカメラでしか撮らないという人がほとんどですよね。じゃあ、なんで盛れるカメラで撮るのか?まったく違う自分になりたいのか?というと、そこまでの深い意味合いではなく、可愛い方がいい、面白い方がいい、という感覚だと思うんですね。同じように、アバターも自分の延長線上として、よりカジュアルに捉えられていくと思います。

そんなに構えて使うものではなく、もっとカジュアルに使っていいものなんですね。

そうですね。例えば、今日、バイトのシフトをLINEで連絡し合うように、仕事でLINE使っている人って多いと思います。でも、仕事用のLINEとして、証明写真で撮ったような顔アイコンと実名のアカウントを別途用意する人はあまりいないですよね。名前もニックネームであったり、アイコンも犬の写真やプリクラであったり、そういうものを使っていることが普通になっていると思います。5~6年前は、仕事でLINEを使うのはさすがに…という感覚があり、LINEは友達と使うものという印象だったのではと思います。でもここまでコミュニケーションツールとして普及すると仕事上でもそれが普通になる。
アバターもそれと同じだと思っています。だから「REALITY」においても、まずはコンシューマー向けのエンターテイメントの領域でアバターを使う人が増え、それが一定以上増えると、仕事においても、上司とのコミュニケーションにおいても、違和感なく使うようになる。LINEのアイコンと同じように、ビデオ会議にアバターで出てきても普通になってくるでしょうね。

世の中的に、オンラインでコミュニケーションするのが普通になってくると、自分のプレゼンテーションとしてのアバターを持つ人も増えていくと思います。その時に、人々が使うサービスは、今あるサービスとは違うものでしょうし、それを今作っていこうと思っています。「なりたい自分で生きていく」というビジョンを掲げて取り組んでいますが、誰しもなりたい自分というのを少なからず持っていると思います。なりたい自分になれる社会、環境、世界、技術を作っていくというのが展望ですね。

それは見た目に寄らず、という思想もあるんですか?

そうですね、見た目に寄らないです。性格や考え方においても、アバターを通して発信できるものがあるのではないか、と思っています。更に言うと、見た目を変えるのが自分を変える近道だということが、最近分かってきました。
自分自身もそうだし、アバターユーザーの話を聞いていても感じます。自分に対してポジティブな感情を投げかけられている、認められている、賞賛されている、ということが多い人は、他人に対してもポジティブなことを投げかけられると思います。それは、アバターを使っているユーザーやVtuberの方々も、「人生でこんなにも多くの人から可愛いと言われることはなかった」と仰りますし、もっと可愛くならなきゃと思う、言ってくれる人に対して優しくなれる、今までになかった自分の要素が見つかる、自信がつく、ということも言われますね。
自分にコンプレックスがあったところが、アバターになって褒められることで、自信がついて、その結果、人とのコミュニケーションであったり、誰かと知り合ったり、ということに対する抵抗感が減る人もいます。だから、見た目が変わると、中身も変わると感じます。でも、リアルな見た目を変えるのは大変です。アバターであれば、すぐに見た目を変えられるので、結果的に中身も変えやすいんです。最初からそういう考えで作ったわけではないですが、そういう人の変化を感じていますね。

職場においても、意外とアリかも知れない、と思いました。自分にコンプレックスを感じながら仕事をするよりも、自信が持てる中で仕事をした方が成果が出せるでしょうし、周囲も見た目に寄らず、フラットに関わっていけるんじゃないかな、と。

SNS時代におけるスモールコミュニティの繁栄

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少し話は変わりますが、荒木さんは普段からお話をしていてスモールコミュニティを育んでいる印象があります。仕事においても、スモールコミュニティの重要性は感じますか。

非常に感じます。「REALITY」もコミュニティづくりのプラットフォームですが、ファンが1万人いる5~10人のユーザーがいるよりも、めちゃめちゃ仲良くしている5人がいるユーザーが1万人いるほうが、ビジネスとしてもサービスとしてもスケールします。だから、1人に何万人のファンを作るのではなく、仲の良い数人と気軽にコミュニケーションができるようなサービス設計をしています。
Vtuberやライブエンターテイメントの運営をしていて痛切に感じるのは、認知度とファンは違うということです。みんなが知っているけど熱狂的なファンがいるわけではない、というものはあんまり伸びないんですね。それより、少人数でも熱狂的なファンがいる方が伸びるんです。それはもちろん、熱狂的なファンの方が応援してくれるということもありますが、ただ知ってるよ、というものと、自ら進んで人にお勧めしちゃうものは、広がり方が違います。SNSがコミュニケーションの手段となった今日では、自ら進んで人にお勧めしちゃうものの方が圧倒的に広がります。そういう観点で、スモールコミュニティの力や価値は、仕事でもプライベートでも強く感じますね。最初は小さくても、居心地がいい、すごく好き、と思える人がいるコミュニティを作ったほうが、結果的に広がるし、始めるのも大変ではないですよね。最近では、アパレルとか化粧品とか健康食品なんかをビジネスにしている企業でも、そういうスタートが多く見られます。ソーシャルメディアでストーリーを語ることで、商品のファンというより、作り手のファンを作る動きが多いですよね。自己表現の一環としてそういうものを身に着ける風潮も出ています。

そうですね、すごく時代の変化を感じます。大企業主義、大量生産、大量消費という時代から、SNSの台頭で消費の仕方が変わってきているんでしょうね。

働く場所においても、みんなが均一的に働くというよりも、それぞれのチームが、自分たちのチームのブランディングや居場所として作り込めたり、帰属意識を感じられる場所があるような工夫をしています。部門やチームというのは、それぞれがコミュニティだから、自分たちの空間だと、感じられることが重要だと思います。

チームワークの要素として、仲がいいということを大切にしています。新規事業や新しいことに挑戦をしていると、当然ですが、これまでやったことがないことをやるので、上手くいかないことや失敗することも多いです。そして、失敗し続けるというのは、やはり辛いんですね。そういうときに、仲が良いとか、好きな人たちと働いていると、人間って耐えられるんです。新しい事業を成功させるには、長きにわたる失敗を乗り越えないといけません。組織としてのレジリエンス、長く耐えられる力がビジネスにとっても必要となる。そういう意味でも、仲の良いチームワークを作ることは重要ですし、そういう環境づくりを新しいオフィスでも挑戦していこうと思っています。

ワークプレイスを軸に、様々な専門領域を持つクリエイターたちのシナジーによって、既成概念を超えたソリューションの提供を目指す。働き方や働く環境に関するご相談・お問い合わせはこちら:info@tcproject.co